2008年3月3日月曜日

セカンドオピニオン

 今村先生のセカンドオピニオンに行ってきました。勉強会で学んだ事を反芻し、更に詳しく聞きたい点を母と話してまとめて聞く事が出来ました。今日は良い話が出来たと思います。

 近々のCT画像を持参したのですが、現病院では2〜3個と言われていた肝転移がもっと多発している事が分かりました。原発の大きさは3〜4センチ、イレッサ著効時で1センチ台に縮小した事を思えばやはり進行している事実は否めません。
 しかもその原発は背骨に隣接した場所にあり、非常に骨転移の危険を孕んでいる事もわかりました。

 そう書くととても悲観的なのですが、今村先生の考え方は、症状の無い肝転移や肺内転移に関して過剰に神経質になる事は無意味である、病気全体を見る事が必要で、転移箇所や数だけに一喜一憂するのは「木を見て森を見ず」状態であるとの事。言わんとしている事がとても良くわかりました。

 タルセバが使えるようになるまでにまずはQOLを保ちつつ、現状維持出来る治療を優先的に行うべきで、それに関しての先生の治療のビジョンを充分に聞いてこられたのでとても有意義でした。

 いずれにしても母の病気の現状に関しては初めて知る事が多く、現主治医の説明不足、治療のビジョンの無さを思い知るばかりでした。
 今村先生曰く、それは主治医というよりも病院自体の考え方、モットーのようなものであるとの事。つまりは末期ガンのような予後が明るく無い患者に対しては事実を全て伝えるというよりはぼかす部分はぼかして不安感を与えずに柔らかくやり過ごす治療とでも言えば良いでしょうか。
 それも考え方次第では悪くは無いと思います。でもその流れに乗っていたら母は今この世にはいなかったでしょう。具体的に転院を考える準備をしようと思いました。

 未認可薬の使用するタイミングや金額に関しても具体的に話せました。
母は自らの病気の現状を改めて知り、新たな不安感に襲われていると思います。でもまだまだ希望はあります。それが分かりました。

 病人本人の抱える不安感、孤独感はごく近くで支えてる家族ですら分かり得ないものだと思います。同じように、生きていたい、生きていて欲しい、と心から願っていてもやはり本人には成り代われない、肩代わりも出来ない。
 私が母に生きていて欲しいと思うがあまり、色々調べて話を聞きに行き、主治医と治療に関しての交渉をして、という一連の行為が果たして母のとってどうなのか、時にはそれが息苦しくなる事もあるのでは無いか、と思ったりもします。

 正直聞き飽きたくらいの励ましの言葉「前向きに、あきらめないで」。
そんな事は分かっていて、既に毎日精一杯立ち向かっています。患者家族でさえそんな気持ちですから、患者本人は毎日普通に生きていく事だけで精一杯なのかも知れません。そんな人に「頑張って」も「前向きに」もありません。
 どうしても頑張れない時、落ち込んでしまう時に安心して落ちていける場所が患者家族のあり方なのでは無いかと、色々な事があり、そう思うようになりました。



 ガン友MAPのミームラさんが亡くなりました。
このブログをMAPに加えて頂く際にとても親切に対応して下さり、お母様と私は同じ病気ですね、一緒に頑張りましょう、と言って下さいました。
 ミームラさん、本当に悲しいです。悔しいです。でももう戦わなくていいのですね。ゆっくり休んで下さい。ミームラさんの存在に助けられた多くの患者さんや家族がいます。それがミームラさんの生きた証として皆の心の中に永遠に残ります。
 本当にありがとうございました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 
 

 

9 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ぽんさん、こんにちは。
セカンドオピニオンはほんとに大事ですね。私の母もセカンドオピニオンを受けて、今の病院に転院しました。最初にかかった病院は県でも有名で(ここは福岡なんですが)だからこそお願いしたんですが、患者を右から左に扱う医師の態度と「もう治りませんよ」と言った医師の言葉に激怒し、見切りを付けました。今の病院は前と比べると小さい病院で、設備も少ないため納得のいく治療とまではいきませんが、それでも良かったと思っています。病院を移るとき、前の医師の言葉で絶望的になっていた私は「治らないなら苦しまない治療をお願いします」と今の主治医に言いました。すると先生は厳しい顔で「誰が治らないと言いました?私はお母さんを治そうと思ってますよ、これからお母さんを全力で支えて下さい」と言って下さいました。今でもこの言葉が励みになっています。ぽんさんも仰るとおり、患者である母の不安は計り知れません。でも同じように家族も不安です。がんについて知れば知るほど不安でしかたありません。だからこそ医師の存在は大切ですよね。ぽんさんのお母様が最高で最良のお医者様に出会えることをお祈りしています。

ぽん さんのコメント...

>あやさん
コメントありがとうございました。
>患者を右から左に扱う医師の態度と「もう治りませんよ」と言った医師の言葉

これは許せないです。医師も自分の親兄弟が同じ立場になったら同様の対応なのでしょうか。

>「誰が治らないと言いました?私はお母さんを治そうと思ってますよ、これからお母さんを全力で支えて下さい」と言って下さいました。今でもこの言葉が励みになっています。

良いお医者さんですね。患者自身とその後ろの家族も見て下さる、母の主治医には望めない事です。

>がんについて知れば知るほど不安でしかたありません。だからこそ医師の存在は大切ですよね。

 本当に知ればしるほど不安が増えるばかりです。でも最後まで戦う決心は付いています。
あやさんのお母様も今の病院で主治医と良いコミュニケーションが取れて納得のいく治療が行える事を祈っています!
 

匿名 さんのコメント...

お返事ありがとうございます。
ぽんさんにはいつも励ましていただいて本当に勇気が出ます!
私の母のことは、家族以外には話すのをやめていました。友人や親戚から掛けられる慰めや励ましの言葉に苛立ってしまうからです。でも、ぽんさんの言葉は本当に嬉しいです。最近、また母のことで落ち込むことがあり、ぽんさんの「戦う決心は付いています」の言葉に私もまた力が出てきました!
実は、私の母には病状を詳しく伝えていないんです。ただガンだと言う事実と、治せるものだから頑張ろうということだけ言っています。というのも、最初に告知されたとき母も一緒に話を聞いたんですが、あまりにも心無い言い方とストレートすぎる説明に、母の精神は耐えられなかったのでしょう、その場で気絶してしまい軽い記憶障害を起こしてしまいました。そして、その日の記憶だけが無いんです。今の主治医と相談した結果、これ以上のショックは治療に支障をきたすということで、話すのをやめました。
でも、ぽんさんのお母様がしっかり病気と向き合っていらっしゃるお話を読んで、果たして内緒にしておくのが良い事なのかと考えています。
母に治ると言った以上は後戻りできません。絶対に治してやる!という気持ちで頑張ります。長くなってしまってすみません・・。
まだ寒い日が続きますので、ぽんさんもお体に気をつけてくださいね。

匿名 さんのコメント...

ぽんさん
有意義なセカンドオピニオンでしたね。
「木を見て森を見ず」私も肝に銘じたいと思います。

母の様子です。
3/6に3回目(実質は1.5回目)の点滴が終了。心配したday3のむかつきですが、一時的に少しむかつきは出たもののすぐに回復、はじめてその晩の食事も取れ、翌日も特に問題なく過ごせました。

吐き気止めの調整とカルボの減量が奏功したようで一安心といったところです。
次回同様の軽度の症状でクリアできれば、念願の通院点滴も現実的になってきそうです。

ぽん さんのコメント...

>あやさん
お返事が遅くなってごめんなさい。
安易な励ましの言葉にいらだってしまう気持ち、とても分かります。こっちは精一杯立ち向かっているのですから、これ以上頑張れないし、前向きにもなれません。
お母様、本当にショックを受けられたのですね。
母に関しても今のように真実を知らせるに至るまで色々ありました。でもやっぱり治療に立ち向かうには知っていた方が良いのかと思い、今は全て一緒に医師の話を聞いています。娘の私にはあまり見せませんが、やはり深く落ち込んでしまう時もあるみたいで、その時には「これで良かったのだろうか」と考えてしまいます。
 あやさんもお母様の精神状態を見計らいながら、なるべく前向きにご本人が治療に立ち向かえる状態を作っていけるよう、祈っております。患者家族として一番難しい点ですよね。
たまには息抜きしつつ、どうかあやさんご自身もお元気でいられますように。

>ヒロさん
お母様、吐き気が改善されたとの事、良かったですね!吐き気止めは相性があるのでしょうか。いずれにしても食事がとれた事は何よりですね。
母は最初から通院の投与でした。当初とても不安だった事を覚えています。でも今は可能ならば通院治療の方が精神的にも良いのだと思えるようになりました。

 余談ですが聞く所によると小泉改革の一端で医療費の削減があり、入院治療はなるべくさせない、という動きがあったようです。もちろん病院にも主治医にもよるようですが、母の通う病院は財政的に厳しく、国の政策に我先に従ったようです。
そう考えるとお母様の病院ないし主治医の先生は安全性を第一に考えて下さっているのですね。

 どうか抗がん剤の効果が上がり、吐き気も落ち着き、お母様が一日も早くお家に帰れるますように。

 

匿名 さんのコメント...

ぽんさん
母は3/12にPET/CT検査を行いました。
転移の有無の確認が主目的ですが、転移についてものすごく初歩的な質問をさせていただきたいのです、、、。
以前主治医より「転移は予防できず、おきた時に対症療法を行なうしかない」と聞いたことがあります。
たとえば抗がん剤が奏功している状態でも転移は発生するものなのでしょうか。

初歩的な質問ゆえ大変恥ずかしいのですが、ご教示いただきたく。

匿名 さんのコメント...

ぽんさん

先ほどは初歩的な質問失礼しました。
その後自分なりに他の方のご意見を聞いたり調べたりしてみました。
点滴抗癌剤は分子量のサイズから脳内の血管関門は通過しづらいのですね。
原発巣が奏功したとしても転移はあるわけですよね。
イレッサやタルセバのような分子標的薬は効果があるとも聞きますが、、、
母の場合、告知時にすでに肺内転移しておりましたので、主治医からも「今後脳転移が発生する可能性は高い」と言われております。
いずれにしても肺癌(特に腺癌)は転移しやすい癌と聞きますし、転移した場合も視野に入れ治療法の検討をしておいた方が良いのですね。

ぽん さんのコメント...

>ヒロさん
初歩的な事では無いと思います。恐らく医師ですら占えない部分では無いでしょうか。どのくらいのスピードでどこに転移する事が分かれば先手も打てようものなのですが...。ヒロさんの主治医が言うように転移が起きてから対処というのは悲しいながら現実かも知れません。
母に於いてもそうでした。

お母様は肺内以外に転移はあるのですか?
ご存知だとは思いますが、両肺に転移がある時点で全身のどこに転移してもおかしくない、というのが現実、頻繁に検査を行って、腫瘍マーカーを計り、少しの変化にも気付いていくしか無いのかも知れません。

 原発がコントロール出来ていればガン自体の勢いが抑えられていると考えて転移し辛い状態なのかも知れませんが、母の場合はイレッサが著効して小さい脳転移もすっかり消えた9ヶ月後、イレッサの耐性が認めれたやいなや20個異常の多発脳転移が見つかりました。

 母は脳の観察検査はサイバーナイフセンターで行っています。そこの主治医がとても信頼のおける人物ですので安心して任せられます。主治医曰く、脳は3ヶ月に一回チェックしておけばまず大変な事態にはならない、との事。もちろん運悪く多発転移から髄膜炎になったりしてしまわない限り、という事ですが。
 MRIの精度も高いようです。最悪転移があってもサイバーナイフが脳転移に関する処置として現状一番負担の少ない治療なのでは無いかと思っています。(母は三回行いました)

 >転移した場合も視野に入れ治療法の検討をしておいた方が良いのですね。
 
そう思います。
脳はヒロさんのおっしゃる通り抗がん剤が効きにくい場所ですので大きさによっては局部治療が必須だと思いますが、肝臓の転移は自覚症状や血液数値に出ない内は、肺の抗がん剤治療自体が全身治療なので引き続き行うしか無いみたいです。

 骨転移の場合は痛みが出てからの対処という事になるらしいです。
いずれにしてもPETはあくまでも目安、気になる箇所に関しては3月一回のCT検査が良いのでは無いでしょうか。

 脳転移んも予防として今の治療にプラスしてアバスチンの投与が効果あり、と今村先生のサイトにはありました。アバスチンは肺がんには認可されていないので自費治療、年金暮らしの両親には現実的な話ではありません。

 あまり参考にならなくてすみません。
母は両肺〜脳〜肝臓とお決まりコースの転移があります。何とか食い止められる治療を模索中です。
ヒロさんのお母様も今の治療でうまくコントロール出来るますように。

匿名 さんのコメント...

ぽんさん

お忙しいのにコメントありがとうございます。

母の場合、最初に入院した1月の上旬に骨シンチ、頭部MRI、腹部CTの検査を行い画像上での転移は認められませんでした。
ただぽんさんもおっしゃってましたが、既に肺内に転移してますのでいつ他に転移してもおかしくない状態ではあるわけです。
ぽんさんのお母様のサイバーセンターの主治医さんが言われた「脳は3ヶ月に一回チェックしておけばまず大変な事態にはならない」
というお話は非常に心強い言葉です。

母は癌性リンパ管症も発症しており、そちらの進行具合も転移と同じく心配なわけですが、幸いこちらの症状も現状はやや改善という判断を頂いております。

いずれにしても常にモニタリングをかかさず、かつ事が起きた時の治療法も意識していないといけないわけですね。

ぽんさんのお母様の今までの治療歴とご苦労を読ませていただくと私の悩みなどはまだまだ序の口であると反省します。
今後とも色々な面でご意見を頂いたり、情報交換をさせて頂ければと思っております。

よろしくお願いします。