2008年4月2日水曜日

様々な治療

 4月になったというのに北海道では大雪の荒天候、関東でも肌寒い日が続きます。満開だった桜も散り始め、これから新緑の季節ですね。

 母は今日8回目のイリノテカンの投与を終えました。
先日のCTでは若干の原発、転移ともの増大が認められていますが、タルセバを目前に薬を変えるという選択はあえてしていません。
 それにしてもこの短期間に8回もの抗がん剤投与をしていると考えると母の肉体的、精神的消耗疲労はいかほどのものかと思います。ウツ状態になるのも無理はありません。

 話は少し変わります。
ここ最近、漢方治療、鍼灸、気功その他の東洋医学をベースとした治療法や、心理療法というのでしょうか、カウンセリングなどを交えた治療に関わる人が身の回りに増えています。
 私自身そういった西洋医学以外のものに興味が無い訳では無いのですが、ネットで検索しているとあまりに多くのサイトがそういった治療をベースに癌が消えた、などとうたっている事がわかります。健康食品の類のサイトも癌ビジネスと言われるほどに数えきれない位沢山あります。
(健康食品は東洋医学とは一線を画していますが)
 告知をされたばかりの患者や家族は化学治療への恐怖からそういったものに可能性を求めて逃げてしまう心理があると思います。実際私もそうでした。早い時期に気付き、化学治療をベースに置かないと命を縮めるだけだという事が分かったのは幸いでした。

 母が告知されてから、もしや効果があるかも知れないと友人に、その筋では有名なとある気功師による気功治療を勧められました。電話で遠隔治療も出来るからと言われ、実際どういうものかを見る為に自分自身が受けに行ったりもしました。改善の程を計る為にその時は慢性的なドライアイを治したい、という名目で行ったのですが、効果があったのか無かったのか、一回ばかりでは何とも言えませんが、少なくとも癌という病気が治癒する類いのものでは無いと感じました。

 身の回りにも東洋医学的治療信奉者、もしくは実際に治療に関わる友人がいます。
このブログは友人達には非公開にしていますのではばかる事無く言わせてもらいますが、彼らの多くは東洋医学的視点に偏り過ぎていて、西洋医学的な治療に関して全くの勉強不足だという事を私は感じています。むしろ西洋医学には否定的だという共通点もあります。
 真の意味で治療に関わるのであれば、両サイドの知識を持ち、足らない部分を補うという姿勢が必要なのでは無いかと思っていますが、なかなか私のその思いを伝える機会はありません。

 母の病気の事が無ければ私もこんな事は考えもしなかった事ですが、乱暴に分けるならば、今起きている症状を治める、というのが即効性のある西洋医学的発想、長い目で体質改善から、というのが東洋医学的発想なのでは無いかと思っています。癌という疾病に関して言うならば体質改善している間に命が無くなってしまうかも知れません。
 それより何より気功や漢方で癌が治るのであればこれだけ多くの人が癌で亡くなりはしないでしょうね。

 東洋医学、または健康食品を否定するつもりはまるでありませんが、癌のような重篤な病の領域に治療という名目で入ってくるのは患者や家族の悲劇を生むので辞めてもらいたいと思うのです。それを行う側、扱う側もしっかりと西洋医学治療で使う薬の種類や効果も把握した上で、あくまでも補助的治療として提唱する、というあり方でいて欲しい、と切に願います。

 これこそ私の偏見なのでしょうか。

 

11 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ぽんさん初めまして、何時も拝見させて頂いています。。私もぽんさんと同じ年代で母が肺腺癌を宣告されています。骨転移もあり今はイレッサ治療中です。最近脳転移のような症状が出始めていますがこちらの大学病院では宣告時からもう6ヶ月もMRIをしていません。。こちらから意見を出すとこちらではお受け出来ません!ばかりです。。マニュアル通りの治療しか受けられません。ぽんさんのブログを拝見させて頂きセカンドオピニオンの大切さが身にしみています。もし万が一現在脳転移が無いようでしたらアバスチン投与を是非とも試してみたいと思います。そこでぽんさんが受けられたセカンドオピニオンんの先生の意見を1度聞いてみたいのですが
教えて頂くことは可能でしょうか?こちらは愛媛県ですが何処でも行く覚悟はあります。たくさん聞きたいことが山のようにあります。宜しくお願いします。。。

ぽん さんのコメント...

>me-me-さん
初めまして!コメントありがとうございます。
お母様にイレッサの効果はいかがですか?なるべく長く服用出来て、かつ大きな効果があるといいですね。

 お母様に脳転移のような症状とはどんな症状なのでしょうか。杞憂に終ったとしても患者の不安を検査という形で対応してもらえない病院には問題がありますよね....
自衛策を取るしか無いですね。私も同じような状態ですが...。

 私がセカンドオピニオンを聞きにいった先生はこのサイトの今村医師です。
http://2nd-opinion.jp/
セカンドオピニオンの申し込みフォームがありますので送ってみたらいかがでしょうか。必ずご返答頂けることでも無いようですが、なるべく詳しくお母様の状態や治療歴を書かれる事をおすすめします。またアバスチンの投与に関しての質問もされたら良いと思います。
場所は千葉県千葉市です。

 お母様に脳転移が現状あっても無くても、やはり専門的な施設で観察を続けるのが良いように思います。
母の場合は脳転移が見つかってからですが、一年半ほど前からサイバーナイフセンターにて脳の検査をしています。そこの主治医がとても良い先生という事もありますが、検査設備も素晴らしく、MRIはかなり精密で、肺でかかっている病院では写らないような小さな転移まで見えるようです。
母の多発脳転移が発覚した際に実際にサイバー処置も受けています。時間はかかるものの、ガンマナイフのように頭にねじを入れる負担が無いだけに少しは楽だったようです。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20050606ik13.htm

 全国にもあまり無い施設のようですが、このサイトに愛知県のサイバーナイフ設置病院がありますので宜しかったらご参照下さい。

 ご心配の絶えない毎日だと思います。どうかご自身のお体も大切にして下さいね。お互い頑張りましょう!
 宜しかったら続報をお待ちしております。

匿名 さんのコメント...

こんにちは!
私の父が健康食品の類にはまってしまい困っています。
「ガンが治った」の広告を信じて、数万円のサプリメントを買ったりしています・・私がいくら止めても聞く耳を持ちません。
何かにすがりたい思いと、何とかしてやりたいとの思いが伝わってきて痛々しいほどです。
ガン治療を謳った業者が沢山ありますが、こんな思いで購入する人の気持ちが分かっているんでしょうか?もちろん、中には真剣に取り組んである所もありますが・・。
もっと考えてほしいと思います。

匿名 さんのコメント...

ぽんさん

お母様の抗がん剤投与回数多いですね。体への負担はもちろん精神的な負担も相当なものだと思います。
同時にぽんさんへの精神的負担も増えているでしょうから決して無理なさらないでください。

私の母も昨日5回目(実質2.5回目)の投与を終了しましたが、改めて母の姿を見ると高齢者への抗がん剤治療は易しいものではないなぁ、、、とつくづく感じます。
母は今でも当初服用していたイレッサは「良かった」と言いますし、ぽんさんのお母様もタルセバへの切り替えが待ち遠しいですね。

母の酸素飽和度はすぐの改善は望めそうもなく改善待ちだと帰宅も遠のくため、自宅に在宅酸素療法用のボンベを設置することにしました。
これがあれば思い立った時に試しに日帰り(病院から自宅まで車で10分くらい)帰宅も可能ですし、体調がよければ外泊もできると思います。

ぽん さんのコメント...

>あやさん
そうですか...お母様を思うお父様の気持ちが分かるだけに切ないですね。
健康食品が全く効果が無いとは思いませんが、すでに発症している癌に関して言えば焼け石に水だと思います。
健康食品で治るのであれば誰も抗がん剤治療に踏み切ったりしません。真剣に取り組むのであればそれぞれの分野の限界を自覚した上で宣伝をして欲しい、と切に願います。まさに患者やその家族のわらにもすがる気持ちを利用したビジネスであると思ってしまいます。

>ヒロさん
母の投与ペースはweeklyで3週続けて一週休薬です。
高齢になればなる程、精神面と肉体面はリンクするものと思います。(私くらいの年齢でも感じますから)
ヒロさんのお母様もなるべく体力を温存しつつ、効果的な治療を行っていけますように。
ご自宅まで10分と言うのは恵まれた立地ですね!お母様もご自宅に帰れるというう希望が持てれば大きな励みになる事でしょう。様々な準備が大変かと思いますが、これから先続く治療をなるべく快適なものに出来るといいですね。

匿名 さんのコメント...

ぽんさん

ぽんさんはお父様へのケアはどうされていますか。
私も普段母の方へばかり向いていてなかなか父の方まで気がまわらないのが実状です。
先日妹が父に会ったところ心身ともに疲れていたとのことでした。
父はほぼ毎日病院に行っており、家では身の回りのことも自分でしなくてはいけないわけです。
そのうえ母からは(入院が長期化しているストレスからだと思いますが)度々あたられているようで精神的にも辛い状況のようです。
私もなるべく毎日電話をして話をするようにはしていますが、むずかしい問題ですね、、、

ぽん さんのコメント...

>ヒロさん
私の場合は父とは腹を割って話す事があまりありませんでしたので実際の心中は計りかねる部分があり、もちろん穏やかではいられないはずなのですが、今は母が何とか家事全般をこなしていますので、まだどこか楽観して甘えているように見えます。母の肝転移が分かり、度重なる抗がん剤で弱ってきている昨今は、さすがに多少なりとも家事を手伝ったり、母を労る姿勢が見え始めました。それまではまるでサポート体勢の無いように見える父に苛立つ事の方が多く、ケアする、という気持ちには正直なれませんでした。我が家の場合はこれからが父に正念場が訪れる事になりそうです。
ヒロさんもそうだと思いますが、離れて住んでいると心配ばかりが膨らんでしまいますよね。毎日の電話というのも簡単そうでなかなか出来る事ではないと思います。お父様の心の拠り所になっているのでは無いでしょうか。男性の場合は心を打ち明ける友人がいない事が多いので本当に難しい問題ですね....。

匿名 さんのコメント...

ぽんさん

そうですね。
うちの父もどちらかと言えば口数が少ないタイプで社交的とはいえません。
私も父とはここ何年も〝しっかり〟話をしたことがありませんでしたが、母の闘病をきっかけに会話は飛躍的に増えました。
今後も少しでも父の負担を軽減できるようたくさん話をしていこうと思います。

匿名 さんのコメント...

ぽんさんご丁寧な対応をして頂き有難うございます。本当に心細い思いをしていましたので嬉しい気持ちで一杯になりました。今日CTを緊急で撮ってもらいました。結果MRIをとらないと断定は出来ませんが腫瘍はなさそうとの事でした。今日から主治医が変わったのですが前の主治医は腫瘍マーカーのCEAをあまり重要視していなく他の腫瘍マーカー(その病院で開発?)を重視していました。イレッサを飲み始めて4ヶ月ですがそちらのマーカーはかなり下がっていたのですがCEAはずっと100を超えたままでした。それが前回の3月12日と今回で5.5まで下がっていました。ちょうど母が以前勤めていた病院の理事長さんから連絡があり癌が消えた人がいるから是非と進められたおが屑温浴を始めて直後に膝に炎症が起き(背中の骨転移部分の放射線を当てた部分は水ぶくれが出来、裂けた状態になっていました。。)高熱が続いたので緊急で病院へ行ったのですがその直後だったもので母はおが屑のおかげと言っています、、私は家から遠いこともありあまり乗り気ではないのですが、、他に思い当たることも無いのでそうなのかとも思いますが??です。母は以前看護婦をしていましたがかなり保守的というか主治医が絶対的なところがあります。私は出来るだけ最新の情報を集め起きてから治療するのではなくやはり先先を見込んで予防策をとりたいのですが今回の主治医もこんなにイレッサが効いているのに他の治療を取り込んで効かなくなったらもったいないと言われ母もそうですよね、、って感じです。私自身もぽんさんのように強い信念を持って母の治療をしたいのですが肺腺癌ステージ4の現実を目の当たりにし遠からず来るであろう(諦めてはいませんが)、、、最期の時に主治医の言うとおりにしていればもう少し生きられたのではないかと後悔しそうで、、かといって転移するのを待つだけで何もしなかった時はもっと後悔しそうで、、正直どうすればいいのか解りません。まだ断定出来たわけではないのですが脳転移していなければアバスチンを試してみたい!けど1歩踏み出せない自分が情けない気持ちで押し潰されそうです。。。もう書きたいことがいっぱいで乱文になってしまい申し訳ありません。。

ちびちび さんのコメント...

ぽんさん、はじめまして。
ずっとブログを拝見させていただいてます。ぽんさんと私の境遇はとても近いものがあり、いつも勇気づけられています。

me-me-さんが今村先生のことについて質問されていましたので、ご参考までにと思い、コメントを入れさせていただきました。
今村先生は千葉で診療されていますが、岡山県の倉敷にある「すばるクリニック」で、週1回くらい相談室を開かれているようです。
愛媛にお住いでしたら、倉敷の方が近いかもしれませんね。
http://www.subaru-clinic.jp/
肺癌は脳転移しやすいガンですので、少なくとも2か月に1度はMRIをするべきだと私は思います。
ちなみに私の母は、上記の「すばるクリニック」の伊丹先生にセカンドオピニオンで大変お世話になっています。
母は、肺腺癌Ⅳ期で4年前に余命半年と告げられ、2か所の骨転移、3度の脳転移にもまけず、なにくそ!とがんばっていられるのも、主治医以上に伊丹先生のおかげだと思っています。

現在はタルセバ服用中です。タルセバ服用後、脳にあった複数の小さな影は消え、大きな腫瘍は縮小しています。
タルセバは脳転移に効果があるというのは本当かもしれません。

西洋医学、東洋医学といえば、私の母は当初、抗がん剤治療に否定的で、化学療法を一切せず「ゲルソン療法」のみでがんばっていました。
しかし幸いにも自然療法だけでは限界があることに気がつきイレッサを始めました。
西洋、東洋、自然療法、いずれの場合も他の選択肢をすべて否定してしまうと偏った治療になってしまいます。
今の医療の現状では、患者側が常に新しい情報に目を向け、かしこい選択していくことが必要ですね。
実際に冷静な目を持つことは難しいですが。

ぽん さんのコメント...

>me-me-さん
心細いお気持ち、痛いほど分かります。私自身も他の患者家族の方々にどれだけ救われている事か。
お母様、検査をされたのですね。良かったです。確かに脳はMRIで詳細の検査を再度受けられた方が良いかも知れませんね。精度の高い機械で定期的に検査を受けら得る体勢を作っておけば安心だと思います。「ちびちびさん」のコメント、とても参考になると思います!
いずれにしてもイレッサがとても良く効いているご様子、出来るだけ長く持続出来る事を願っています。
me-me-さんの思いと、お母様や主治医の考え方には違う部分も沢山あると思いますが、me-me-さんが今している事は絶対に無駄になんてならないと信じています。アバスチンに踏み切るかどうかはとても難しい問題ですね。良く分かります。母にも何度も未認可薬使用の可能性を考えましたが(今もですが)、経済的に継続出来る事が困難な事や、今現在の治療への混乱を配慮して今だ決心出来ません。
告知を受けて二年、先々を考えて必死になる自分と、先を考えすぎずに今現実的に出来る事を優先して考える自分と、考えていても色々と起きてしまう病気のどうしようも無い勢いに面したり.....私も到底心穏やかにはいられない日々です。
 蛇足ですが病院関係者の方にも「癌が消えた」と言わしめる「おが屑温浴」、謎ですね....。


>ちびちびさん
初めまして!コメント嬉しいです。的確な情報をありがとうございました。確かにme-me-さんの地域には「すばるクリニック」の方が近いですね。以前今村先生を検索していた際に「すばるクリニック」の事を見ていたにも関わらず、すっかり忘れていました。今村先生や伊丹先生のような先生がもっと全国的にいてくれたら、と切に願います。
お母様は今はタルセバを服用中なのですね。著効されているご様子、何よりです。副作用などはいかがですか?骨転移にはどのような治療をされているのでしょうか?母にもイレッサ服用時に脳転移がほぼ消えた経緯があります。
多大に期待するのは危険ですが、イレッサ著効群にとってタルセバは「希望」です。差し支え無ければ何かの機会にお母様の治療の経緯などをお知らせ頂けたら幸いです。
ゲルソン療法を実行されていたなんてお母様はお強い精神力をお持ちなのですね。
冷静な目で様々な方向の治療から良い所取りをしていけるのがベストだと私も思います。